知っておきたいアトピー新薬

お子さんのアトピー性皮膚炎、生物学的製剤で自宅での注射が始まるとき:親御さんの不安を和らげる準備と声かけ

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お子さんのアトピー性皮膚炎の治療において、生物学的製剤が選択肢の一つとなることがあります。この新しい治療法は、これまでの治療では十分な効果が得られなかった重い症状の改善に期待が寄せられています。生物学的製剤の中には、ご自宅で定期的に皮下注射を行うタイプのお薬があります。

治療開始にあたり、医療機関で注射の方法について丁寧な説明や実技指導を受けることになりますが、ご自宅で実際にお子さんに注射をするとなると、親御さんにとっては少なからず不安を感じることもあるでしょう。この記事では、自宅での注射をスムーズに行うために、親御さんができる準備や、お子さんへの接し方についてご紹介します。

自宅での注射に不安を感じるのは自然なことです

お子さんのためとはいえ、自分で注射を行うという行為は、多くの親御さんにとって初めての経験であり、不安を感じるのは自然なことです。痛がらせてしまうのではないか、うまくできなかったらどうしよう、といった心配は誰にでもあります。

まずは、ご自身の不安な気持ちを受け止め、その上で、医療機関で受けた説明を落ち着いて思い出すことが大切です。また、不安な気持ちはお子さんにも伝わりやすいものです。できるだけ落ち着いて臨めるように、親御さん自身の心の準備も進めていきましょう。

注射に向けた具体的な準備

自宅での注射を始める前に、いくつかの準備をしておくことで、当日の流れをスムーズに進めることができます。

1. 医療機関での指導をしっかりと受ける

治療開始前には、看護師さんなどから注射の手技について丁寧な指導があります。模型を使ったり、実際に自分で試したりすることで、具体的な手順を確認できます。不安な点や疑問点は、遠慮なくその場で質問し、完全に理解できるまで繰り返し確認しましょう。可能であれば、ご家族で協力して、複数の方で手技を覚えることも有効です。

2. 必要な物品を準備する

自宅での注射に必要な物品は、医療機関から処方されたお薬の他に、アルコール綿、絆創膏、そして使用済みの注射器を安全に廃棄するための専用容器などがあります。これらが全て揃っているか、事前に確認しておきましょう。専用容器は医療機関で回収してもらうことになりますので、指定された方法で保管してください。

3. 落ち着いて投与できる環境を整える

注射を行う場所は、お子さんがリラックスでき、かつ親御さんが落ち着いて手技に集中できる場所を選びましょう。清潔で、十分なスペースがあり、明るい場所が適しています。気が散るようなもの(テレビやおもちゃなど)は片付けておくと良いかもしれません。可能であれば、お子さんを座らせる、または寝かせるための安定した場所も確保します。

お子さんへの声かけと説明のポイント

お子さんが注射に対して過度に怖がらないように、事前に適切に説明し、安心させることが重要です。

1. 正直に、分かりやすく説明する

これから注射をすること、少しだけチクッとするかもしれないことを正直に伝えましょう。ただし、必要以上に痛みを強調したり、怖いものだと匂わせたりすることは避けてください。「良くなるためのお薬を入れるんだよ」「痛いのはほんの一瞬だよ」など、前向きな言葉を選びます。お子さんの年齢に合わせて、理解できる言葉で説明することが大切です。

2. 注射の目的を伝える

この注射が、かゆみや赤みを良くして、気持ちよく過ごせるようにするためのお薬であることを伝えます。「チクッとするけど、これが終わったら、もっと遊びやすくなるかもしれないよ」など、具体的なメリットと結びつけて話すと、お子さんも受け入れやすくなることがあります。

3. リラックスできる雰囲気を作る

注射の前に、お子さんが好きな遊びをしたり、絵本を読んだりするなど、リラックスできる時間を作りましょう。深呼吸を促したり、好きなおもちゃを握らせてあげたりするのも有効です。無理強いせず、お子さんの気持ちに寄り添いながら進めてください。

4. 終わった後の声かけとケア

注射が終わったら、「よく頑張ったね!」「偉かったよ!」と存分に褒めてあげましょう。好きな絵本を読んであげたり、ご褒美を用意したりするのも良いかもしれません。注射した部位はやさしく保護し、お子さんが安心できるよう抱きしめるなどして寄り添ってください。

投与時の注意点と、もしもの対応

医療機関で習った手順をしっかりと守って投与を行います。

医師や薬剤師との連携を大切に

自宅での注射について、不安な点があれば、いつでも遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。手技の確認をしたい、お子さんの反応への対応に困っているなど、どんな些細なことでも構いません。医療スタッフは、親御さんが安心して治療を進められるようにサポートしてくれます。

まとめ

お子さんのアトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤治療は、つらい症状を改善し、日常生活の質を高めることが期待される治療法です。自宅での注射が始まる際には、親御さんもお子さんも不安を感じることがあるかもしれませんが、適切な準備と、お子さんへの温かい声かけを行うことで、その不安を和らげることができます。

この治療を検討または開始される際には、医療機関と十分に連携し、不明な点や不安な点はその都度相談しながら、お子さんにとって最善の方法で治療を進めていくことが何よりも大切です。